内定が出たのに不安だった私が、転職前にやってよかったこと

転職が決まれば、全部解決する。

そう信じていた時期がある。内定さえ出れば、転職への不安がなくなる。「頑張ってよかった」と思える。前に進める。そう思いながら、転職前の数ヶ月を過ごしていた。

だから、採用通知のメールが届いた朝のことが、今でも忘れられない。

内定が出た朝、なぜか泣けなかった。うれしかった。でも、「これでよかったのかな」という声が、頭の片隅に残っていた。

あの不安の正体は何だったのか。転職してから少し経って、ようやくわかった気がする。

動けないまま、半年が過ぎた

転職を意識し始めたのは、30代に入ってすぐのころだった。「このまま10年が過ぎたら」と考えたとき、思い描ける未来がなかった。

転職への不安が先に立って、なかなか動けなかった。現職への強い不満があるわけじゃない。でも「このままじゃいけない」という感覚だけが、ずっとそこにあった。

転職情報サイトを開いては「自分に何ができるんだろう」と閉じる。応募フォームを途中まで書いて、手が止まる。そのくり返しが半年以上続いた。

誰にも言えなかった。「転職したい」とも言えない。言葉にならない不安を抱えたまま、毎日が過ぎていった。

転職前に、キャリア相談を受けてみた

転職前にやっておいてよかったと、今一番思うことがある。転職エージェントに登録する前に、キャリア相談を受けたことだ。

「転職しましょう」と言われるんだろうと思っていた。違った。

「今の仕事で、どんな瞬間に充実感を感じましたか」「どんな状況のとき、自分らしく動けている気がしますか」「本当はどんな仕事がしたいですか」

そういう問いを、静かに聞かれた。うまく答えられないこともあった。でも、答えようとするうちに、自分でも気づいていなかったことが言葉になっていった。

「自分は環境が合っていなかっただけで、やりたいことはある」。その感覚が、あの夜から生まれた。


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その後の転職活動は、以前とは違った。「何のために転職するか」が自分の中にあったから、面接で言葉に詰まらなかった。自分の言葉で話せた。

そして、採用通知が届いた。

内定より先に、変わっていた

泣けなかったのは、喜んでいなかったからじゃない。泣くほど驚かなかったのだと、今は思う。

転職前にキャリア相談で自分の気持ちを整理した段階で、「行く先」はもう決まっていた。採用通知は、それを証明してくれたに過ぎなかった。

転職への不安が消えたのは、内定が出たからじゃなかった。「自分が何をしたいか」を言葉にできたから、だと思う。

本当の転機は、内定が出た朝じゃなかった。あの夜、自分の気持ちを誰かに話そうとしていた夜だったと思う。

今は部門の責任者として働いている。でも転職前の私は、自信も方向性も何もなかった。「自分なんかがうまくいくわけない」と本気で思っていた。それが変わり始めたのは、あの夜、ただ話しただけのことからだった。転職を決意したわけじゃない。自分の気持ちを声に出して整理しただけで、少しずつ先が見えてきた。今その状況にいるあなたにも、同じように少し景色が変わる瞬間があるかもしれない。

転職前に不安を感じているなら、まず「自分が何をしたいか」を言葉にしてみてほしい。転職を決める必要はない。頭の中にあることを誰かに話すだけでいい。それだけで、見えるものが変わる。

私がそうだったから。


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